青柳菜摘『竹取山の煙』

竹取物語の最後、「ふじの煙」の中で、かぐや姫は不死の薬を翁嫗に残しますが、二人は「かぐや姫がいないこの世でそんな薬は意味がない」と言い、”最も月に近い山”で燃やしてしまいます。不死の薬は煙を立てて、天高く月へとのぼるのです。それからというもの、富士山は別名「竹取山」とも呼ばれるようになったのでした。

この本では、「竹取山の煙」と題し、竹取物語の結末を引用しながら、序文を新たに書き、千駄ヶ谷、駒込、十条、下谷、北品川、五箇所の富士塚を巡った短い文章がまとめられています。

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※カニエ・ナハによる、RAM Association 《紀行文アンソロジー》プロジェクト『ボヤージュ・ボヤージュ・イン・ザ・ボックス、アシブミ、ハイケイ、メイビーあるいは、旅の領界』に際して制作されました。
http://geidai-ram.jp/kikoubunanthology/
※プロジェクト内で配本されてから、販売分の発送となるため、発送日が前後する可能性がございます。

(2021.3.1 250部発行 内販売分限定100部)

132 × 160 mm / カード5枚 / 手製本

写真・文 青柳菜摘
協力 カニエ・ナハ、柳川智之、東京藝術大学大学院映像研究科、RAM Association(《紀行文アンソロジー》プロジェクト)

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青柳菜摘(あおやぎ なつみ)
1990年東京都生まれ。ある虫や身近な人、植物、景観に至るまであらゆるものの成長過程を観察する上で、記録メディアや固有の媒体に捉われずにいかに表現することが可能か。リサーチやフィールドワークを重ねながら、作者である自身の見ているものがそのまま表れているように経験させる手段と、観者がその不可能性に気づくことを主題として取り組んでいる。
近年の活動に「TWO PRIVATE ROOMS – 往復朗読」(theca, 2020)、「彼女の権利——フランケンシュタインによるトルコ人、あるいは現代のプロメテウス」 (NTTインターコミュニケーション・センター [ICC], 2019)、「冨士日記」(NADiff Gallery, 2016)、第10回 恵比寿映像祭(東京都写真美術館, 2018)など。また書籍に『孵化日記2011年5月』(thoasa publishing, 2016)、小説『黒い土の時間』(自家版, 2017)がある。コ本や honkbooks主宰。「だつお」というアーティスト名でも活動。
http://datsuo.com